自分の中にもう一人の力持ちがいる。

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第13回「志の力」

 今朝は、この3ヵ月間続いた「やる氣の健康学」の最後となりました。

 そこで志(こころざし)というテーマを選びました。その理由は、今、世界は21世紀に入りましたが、まだ未解決の問題が多く残されています。そうした社会で、一人ひとりが直面した難問を解決していくための大切な心構えのヒントがこの志という言葉の中にあるからです。それでは、志という言葉がどのようにして生れてきたかを簡単に調べてみましょう。

 もともと日本語の「こころざし」は「こころ(心)」と指(ゆび)を指すの「さし(指し)」のふたつの言葉が合わさって出来た言葉です。これはある対象に心を引き付けられる時に生れる心の動きを意味していたのです。そこには、相手を思う気持ち、慈(いつく)しむ心、愛する心が含まれているのです。この「こころざし」が漢字の「志(し)」の訓読(くんよ)みに当てられるようになったのです。そして、この文字が次第に「心の中により高い人生の目的を定める」という精神エネルギーを意味する使い方へと移っていったのです。このより高い目的意識は、単なる目標達成という意味ではなく、よりよい目標を創造する能力のことをいうのです。それでは、志はどのような力を持っているのでしょうか。

 「志は気の帥なり」と孟子が言っており、「志(こころざし)」は気の力を正しい方向に導くリーダーの役割を果たすといっています。また、明治初期、ウイリアム・クラーク博士が札幌農学校を去るときに「Boys, be ambitious !(少年よ、大志を抱け)」と言った言葉には、それに続く言葉があります。「お金や地位、自分本位の欲望、名声などといった儚(はかな)いものではなく、人間としてこうあらねばならないということのすべてを実現しようとする、大志を抱け」という主旨を述べています。この意味を日本語では「志」という一語で表現できるのです。

 この言葉こそ、今世界に日本から発信できる考え方なのです。それでは、またお会いできる日まで。

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