日本のものづくりや人づくりには、古くから“技術”と“芸術”の区別はなかったと言われています。たとえば、縄文土器の創り方がその例です。縄文土器には実用を超えた装飾を縁(ふち)に施し、容器を楽しんだのです。
匠(たくみ)術、すなわちTachminology(タクミノロジー)には、技術的あるいは専門的という以上の能力、「巧みである」というだけでなく、より広い分野の博識や見識、知恵が求められました。そして、作品に感銘を与える高い芸術性や独創性を求めたのです。そうした考え方が、日本のものづくりや人づくりに求められたのです。
また、匠(たくみ)人は志(こころざし)を持つことによって、専門家や職人のレベルを超えて、より高い価値ある目的に向ってやる氣を起こし、芸術的なレベルにまで志事(しごと)を高めることを人生の目標や目的にしたのです。