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feed 意欲の源泉は何か―その2「間違いを上手に指摘するのは難しい」 (2013/6/26 14:37:36)
かつて、ひとり息子のバイオリンのけいこを見ていた時のことでした。次の日に合同レッスンがあるとか で、妻が特訓をしている最中でした。 10分ほど経ったとき、ふとあることに気がついたのです。「そこが違うのよ!」という言葉を妻が頻繁に 使います。数えだしたら、15分間に14回、ほぼ1分に1回の割で「そこが違うのよ」と繰り返しているので す。 そばで聞いている私でさえうんざりしたくらいですから、直接言われている息子は、さぞ大変だろうな、 と同情したのです。 ずいぶん昔の話ですが、若い頃、私はプロ級のゴルファーになりたいと思って、ゴルフコーチを生涯の 仕事にして、引退後日本に滞在していたアーサー・ガスという米国人のコーチの指導で練習していたこと がありました。スキーでひざを痛めたために、夢は挫折してしまいましたが、私は彼からコーチ術に ついて大事なことを学びました。 アマチュアのゴルファーに何回かボールを打たせてみます。すると欠点はいくらでも目につきます。 グリップが間違っていたり、ひざの送り方に問題があったり、スタンスの取り方が悪かったり。しかし、 「そこですぐに、あれこれと間違いを指摘してはいけない」というのです。じっと観察してみて、どこか 一カ所だけ直してみるのです。すると、スイング全体が流れるようにうまくいくものです。どこを直せば そうなるのか、そのポイントを見つけるのがコーチの仕事なのだ、と。 その後、大阪のある学習塾の先生と会ったときにも、同じような話を聞きました。彼は当時、小学生に 算数を教えていたのですが「算数の出来ない子どもは、間違い方に必ず個性がある」そうです。算数に 個性があるなんて、初めて聞いた話なのでキョトンとしていたら、彼が解説してくれました。 「算数が出来ないといっても、何から何までわからないわけではない。たいてい一ヵ所か二ヵ所、いつも つまずくところがある。九九の八の段を間違って覚えてしまったとか、分数計算について誤解があると か。そういう間違いのポイントを直すと、びっくりするくらい成績が上がるものです」。 相手の間違いを上手に、しかも的確に指摘するのはなかなか難しいものです。特に母親が子供に向かって やる場合は、子供の意欲を失わせてしまうことが少なくありません。 バイオリンのけいこが終わったところで、私は妻に「15分間に14回も次々に間違いを指摘したら、子ども だっていやになるだろう」と指摘したところ、「ひとが一生懸命やっているときに、そんなことを数えて いたんですか。あなたもひどい人」と逆襲されてしまいました。間違いを指摘するというのは本当に難し いものです。

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