「人は考えたとおりの人間になる」 ローマ皇帝でストア学派の哲学者マルクス・アウレリウス（121-180）は、「あなたの人生は、あなたの考えが作り出す」と表現しました。 1世紀前に、イギリスの作家ジェームズ・アレン（1864-1912）は、『人は考えたとおりの人間になる』という小冊子の中で、人の心を庭にたとえて、次のように述べています。 「庭に種をまかないで放っておくと、雑草が入り込んできて、占領してしまう。人間の心も庭と同じだ。間違った、無益な、そして不純な考えをすっかり取り除き、念入りに手入れすれば、正しい、有益な、そして純粋な考えに花を咲かせ、実を結ばせることができる。こうした努力をくり返していれば、いずれは、自分こそ自分の魂の専属の庭師であり、自分の人生の指揮者であることが分かってくる。と同時に、思考力と心のさまざまな要素が、自分の性格や、回りの環境やそして、運命に至るまでを、どのようにして作りあげるかも理解できる」 確かに、あなたの人生を作りあげるのは、あなたの責任であり、また、その責任はあなただけしか負いようがありません。 あなたがどんな人間で、どんな生き方をしてきたかは、どのように自分の心をコントロールしたかによって決まったのです。だから、将来どんな人間になるかも、やはり、心のコントロールの仕方によって決まります。こうした事情が分かると、自分の置かれた状況や、これまでの経験に、あなたが満足できないとしても、それを人のせいにはできません。 「誰がためにあの弔いの鐘は鳴っているのかとたずねるな。それは、汝自身のために鳴っているのだ」 だが、この事実はまた、私たちの人生への輝かしい希望にもなり得ます。なぜなら、人生に失敗し、落胆し、不幸なめにあっていても、人は自分で自分を創るのだ、という考えのもとに、生き方を改めれば、理想的な人生航路をたどって、希望を実現し、持てる能力を十分に発揮することができるからです。 そのことをよく理解していれば、誰にだって、人生での成功は夢でなくなります。「人は、心構えを変えることによって、人生を変えることができる。このことがわれわれの時代の最大の発見である」という言葉を忘れないようにしましょう。 （続く）