アラビアの諺を一つご紹介します。 「人間には、三つのタイプがある。人を動かすことのできない人間、人を動かすことのできる人間、そして、自分から動く人問。」 皆さんは、どのタイプでしょうか。今日の私たちの第一の問題は、自分で自分を動かす、つまり、自発的なやる気を起こすことです。 やる気のある人は、考えたことを何でもやり遂げます。すべてのことが可能なのです。 それでは、自発的なやる気、セルフモティベーションは、どうすれば起きるのでしょうか。 「信じる者は、どんなことでもできる。」という有名な言葉があります。それと反対に、信念がないと、人はやる気を起こすことはできません。 人が考えたことをやり遂げようと励むのは、心を奮いたたせるエネルギーを持っているからです。このエネルギーは、お金や社会的地位ではなく、信念です。 コロンブスが、大勢の荒くれどもを引きつれ、誰も行ったことのない航海に旅立ち、飢え、災難、そして海の怪物に立ち向かったのは、ただお金もうけになると思ったからでしょうか。 江戸時代の末、蘭学の研究に情熱を燃やした渡辺華山、高野長英らは、立身出世のため、金のため、海外文化の吸収にとりつかれたのでしょうか。 彼らは、信念を持っていて、自分からやる気を起こしたのです。信念が、まず自発的なやる気を起こし、そのやる気が、今度は成功のための原動力になるのです。 ですから、仕事に信念を持つ人は、仕事で成功します。 では、どうすれば仕事に信念を持てるのでしょうか？　次の六つの手順に従って下さい。 第一段階　今勤めている会社をやめましょう。そうです。今の会社をすぐやめるのです。ただし、これは心の中だけの話です。 皆さんが毎朝、出動するのは、「そうしなくてはならない」と思うからでしょう。仕事をするのが、特に好きなわけではありません。他に、かわりの案がないからです。 さあ、会社をやめましょう。 皆さんが、主婦、教師、学生、サラリーマン、経営者、あるいは営業マンや技術者であって、そして、会社がつまらなかったり、仕事や勉強がおもしろくないならば、やめるのです。今すぐ。 主婦の場合は、離婚するのです。 自家営業の人なら、廃業しましょう。学生なら、今の学校をやめるのです。 さて、皆さんは、勤め先や、する仕事がなくなりました。しかしながら、このままでは、困ります。新しい勤め先なり、仕事を見つけなければなりません。 けれども、これは簡単に解決できます。 明日の朝、今やめたばかりの会社、職業や学校、家庭に戻ればよいのです。 そして、その時には、新しい会社に入り、新しい職業につき、新しい学校に入学し、新しい家庭を作ったつもりになるのです。その昔、体験した就職第一日目のスリルと、張りつめた気持ちを再現してごらんなさい。職場の人は、みんな初対面の人だと思うのです。そうすると、次のようなことになるでしょう。 「みんなに、良い印象を与えようとして、笑顔で礼犠正しく、慎重に行動する。 新しい仕事の内容、会社のルール、職場に早くなじむには、どうすればよいか、などを知ろうと努力する。 会社に採用され、自分の能力を発揮する機会を与えられたことを感謝する。 仕事を立派にやってのけようと決意する。」 誰でも、初めて就職したときの一日目は、そうだったでしょう。再就職したみなさんは、新人のつもりで、第一日目を迎えるのです。 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（続く）