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お客様の自尊心を大切にする
GDIブログ・げん氣の扉
(2017/3/30 10:00:33)
お客様の自尊心を大切にする (2010/8/27 13:17:20)
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お客様の自尊心を大切にする (2010/8/27 13:17:20)
一晩中雪が降りつづいた翌日のことです。一人の男性が朝早くから、家の前の雪かきを始めました。やっと半分終わった頃には背筋が痛み始め、熱いコーヒーで一服したい気分になりました。そこへちょうど、スコップを持った二人の少年がやって来て、残りを自分たちにアルバイトでやらせてもらえないか、と尋ねました。
「頼むよ。やりかけた仕事は自分で片づけたいのは山々だがねえ……」。そう男が言うと、少年の一人がこう答えました。「そんなこと気にする必要はないですよ。ぼくらがやらせてもらっているのは、たいていが途中からですから」
他愛のない話のようですが、ここにはじつは深い意味が含まれています。そして、いま私たちが取り組んでいるテーマとも大いに関係があるのです。ここで思い出していただきたいのは、セールスにおいては、問題を解決してお客様を満足させる前に、お客様を問題に気づかせ、現状に対する不満を感じさせなくてはならない、ということです。
しかし、不満を感じさせるといっても、それは、お客様のかかえている問題についての話です。万一、お客様自身を傷つけてしまったら、お客様は面子を繕うために、いろいろな理由をつけて、セールスをことわることでしょう。
いま例に出した男の人は、雪かきを途中までしか終わらせていない、という問題を抱えていました。このままやめてしまっては、責任を途中で投げ出したようで、後ろめたい気持ちになったところです。少年が、他の人もみな同じだと言ってくれた、この一言が、男の気持ちを楽にしました。
問題解決型販売システムの第1段階は、情報を集め、お客様がどのような問題を抱えているかを確認することです。しかし、お客様は自分が問題を抱えているなどと人に言われることを、けっして好みません。なぜなら、それは自分自身が問題だと言われているに等しいからです。
たとえば、あなたが訴訟問題をかかえているとして、弁護士があなたをまるで罪深い、不道徳な人間だというような態度を示したらどうでしょう。気持ちを開くことができるでしょうか? あるいは健康の問題を、自分が不摂生な生活をしているのが悪いと医者に非難されたら、どう感じるでしょうか? 融資が必要なのは、ずさんな経営をしているからだ、と内心思っているような銀行員と取引をする気になれるでしょうか?
セールス活動では、こうした点にきわめて細かい心配りが必要です。たとえば、あなたの家の電気掃除機が少しくたびれて、うなり始めていたとします。しかし、だからといってセールスパーソンが、「掃除機が古くてよくない。それで家の中が汚なくなっている」と言ったら、どんな気持ちがするでしょうか?
お客様といっしょに問題を見きわめ、検討するときは、セールスパーソンとして気に入ってもらうのはもちろん、相手が自信を持てるように力を貸すことが必要です。
そのためには、いくつかの技術があります。
最もやさしく、しかも効果的な技術の一つは、問題を解明していく過程で常にお客様をほめることです。ここでいう“ほめる”ということは、その人の長所やよさを素直に指摘して、勇気づけることです。助け舟を出したり、質問をしたりしながらお客様が問題を認識し、明確にし、検討するのを援助することです。
もし、あなたの勇気づけで、お客様が自信を持てるようになれば、お客様はきっとあなたに好意を持ってくれることでしょう。
もう一つ頭に入れておいて欲しいことは、お客様に自分自身が問題なのだと思わせないよう、お客様と問題とを切り離すことです。自動車の手入れがよくなく、ひどい状態になっていても、それを持ち主の落ち度だとは考えないことです。それは、ほこりやさび、塩分、道路の状態など、すべて自然条件のせいで、お客様の怠慢ではないのです。
雪かきに雇われた少年たちが、どう言っていたかを思い出してください。「そんなこと気にする必要はないですよ。ぼくらがやらせてもらっているのは、たいていが途中からですから」と、この少年は言っていました。
つまり「おじさんだけじゃないんだから安心していいよ」と言っているのです。抱えている問題が自分だけの特別なものではないことがわかれば、それだけで安心できるのです。
「あなたといっしょにいると自信がわいてくる」。お客様がこんな感じをもつような人間関係をつくり上げること――それがプロのセールスパーソンとして成功する道なのです。
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