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自己の責任について(2)
GDIブログ・げん氣の扉
(2017/3/30 10:00:33)
自己の責任について(2) (2009/7/17 16:37:19)
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自己の責任について(2) (2009/7/17 16:37:19)
ガルシアへの密書
このキューバ作戦の中のロウアン中尉の活躍は、ちょうど近日点における火星のように、あざやかなものでした。
米西戦争の開始とともに、アメリカはスペインと戦っている反乱軍の指導者とただちに連絡を取る必要に迫られました。反乱軍のリーダー、ガルシアは、キューバ島の山中のどこかにいるはずでしたが、彼の居場所を正確に知るものは誰一人いなかったのです。しかも、大統領はガルシアのアメリカに対する協力を、即刻とりつけねばなりませんでした。
そんな時、大統領は「ガルシアを探し出せる者がいるとしたら、それはロウアン以外にいないでしょう」という進言を受けたのでした。
ロウアンはさっそく呼び出され、ガルシア宛の手紙を渡されました。彼は手紙を受けとると防水布製の袋に密封し、身体にしっかりくくりつけました。そして、小さな船に乗ってキューバに向かったのです。
そして4日後には目的地にたどり着き、夜半に乗じて上陸すると、ジャングルの奥に消えて行きました。敵中をさまようこと実に3週間、遂にガルシアを見つけ出し、密書を手渡したのでした。
ロウアンのとった行動を、私はくどくど述べるつもりはありません。ただ、私が言いたいことは、彼は
手紙を黙って受けとり、すぐに出発した、ということです。彼は決して「ガルシアはどこにいるか」とは尋ねませんでした。
なんと立派な男なのでしょう。彼の銅像が全米各地の大学に建てられたとしても不思議ではありません。今の若者に必要なのは、本だけを読むことでもなければ、何をするべきかについて教えを乞うことでもありません。人の信頼に応え、速やかに行動し、全エネルギーを一つのことに集中できるような強い意志を持つこと、そして実行に移すことなのです。ロウアンが密書を運んだように…。
ここで誤解をしないでほしいのです。上司の言うことをただ単純に信じて行動しなさいということではありません。ここでロウアンの話をしたのは、あまりにも自己の責任において行動する人が少ないように思えるからです。
ガルシア将軍もロウアン中尉も、すでにいません。しかし、ガルシア将軍のようにロウアン中尉を待っている人はどこにでもいます。多くの従業員を使って事業を起こしたことのある人なら、誰でも、一度は経験したことがあるはずですが、人間というものは、時に愚かなことをしでかしてしまうものであり、仕事に全神経を集中し、それをやり遂げることは、そう簡単なことではありません。
仕事の手を抜いてしまったり、気もそぞろになっていたり、どうしても興味を持てずに、うわの空で仕事を進めたり…。経営者は、なんとか従業員のやる気を起こさせようと努力するのですが、これが、そううまくはいきません。最後には、神頼みしてみたいような気持ちになることも少なくありません。
自力で何とかしようとしない今の若者たち
あなたの職場で、次のようなことをしてみたらどうなるでしょうか。
あなたは、職場の自分の机に向かっていて、あなたの声が聞こえる範囲内に6人の部下がいるとしましょう。その中の1人を呼んで、「百科事典でイタリアの画家コレッジョについて簡単に調べてくれないか?」と依頼します。さて、部下は「はい」と答え、すぐ仕事にとりかかるでしょうか。
残念ながら、答えは「ノー」でしょう。たぶん、部下は次のような質問をすることでしょう。
・コレッジョとは何者ですか?
・どの百科事典で調べればいいのですか?
・百科事典といっても、どこにあるのですか?
・これも仕事のうちですか?
・他の人物じゃだめですか?
・他の人にやってもらえば、いいじゃないですか?
・歴史上の人物ですか?
・お急ぎですか?
・百科事典を持ってきますので、ご自分でお調べになってはいかがですか?
・そんなこと調べて、どうなさるのですか…?
これまでの経験からするとたいていの場合、次のようになります。
あなたは、こうした質問に答え、どう調べればよいか、また、どうしてコレッジョについて調べたいと思っているかを説明します。すると、部下は、だれか仲間を1人連れて調べに行きます。やがて戻ってきた部下は、コレッジョという人物は百科事典には出ていなかったと報告します。この予想は外れるかもしれません。しかし、何回かくり返して平均をとってみれば、きっと予想どおりになるはずです。
もし、あなたが部下の能力や、やる気のなさを承知していたら、コレッジョの頭文字はKではなくCだと説明したりはせずに、あなたはにっこり笑って「ありがとう。もういいよ」と言い、自分で調べに行くことでしょう。
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